◎ 思わずふき出した理由
トウモロコシでできたエコバッグが「環境に良い」と聞いて私が思わず吹き出したのは、お酒を思い出したからです。
お酒が好きな人が「お酒はおいしいから、体に良い。だって、人間の味覚は体を守るためにあるのだから」と言ったとします。
なるほど、理屈は通っています。
でも、人間の健康というのはそれほど単純ではありません。私たちのDNAは、1万年より前に形作られました。その時代の人間は「常に、ひもじい、お腹の減った」状態だったのです。だから、人間は「飢え」に備えて死なないように味覚ができたと考えられます。
つまり、お米やトウモロコシなどの穀類に多い炭水化物より、脂肪は約2倍のカロリーをもっていますから、「脂っこいもの」はおいしいと感じるのです。
また、塩や砂糖はなかなかとれなかったので、甘いもの、塩辛いものはおいしいのです。
もちろんエチルアルコール(お酒)はカロリーが高いので、おいしいはずです。
でもとりすぎは、油は中性脂肪過多に、塩甘いものは糖尿病に、辛いものは商血圧に、そしてお酒はアルコール依存症になります。
それは、私たちが「ひもじい時代の昔の体」のまま、「飽食の時代」に生きているからです。
このエコバッグの話も、自分に都合のいいように「お酒は体に良い(エコバッグは環境に良い)」と言っているような単純で間違った考えなのです。
「トウモロコシから作られる」と言っても、エコバッグがトウモロコシの成分そのままではできていないのです。
化学式が得意な人は、トウモロコシのデンプンと、ポリ乳酸の構造をネットででも調べてみたらその違いにビックリするでしょう。
ポリ乳酸という材料の構造は、トウモロコシより、石油に似ているからです。
そして確かにポリ乳酸は、普通のプラスチックより分解しやすいのですが、分解しやすいものの方が、分解生成物が出るので、危険です。
『家庭で行う正しいエコ生活』武田邦彦 平成21(2009)年 講談社刊より 20260104
